2016年1月28日木曜日

今では完全な寝たきりになってしまった。…5年前頃までは元気で、ある時から歩き方がおかしくなって…それから坂道を転がるように眼や耳に障害がでてきて…ここ1年半ほどおトイレも自分ではいけない…大きなヘルニアができたり、顔にできたシミがオデキになり膿んだ…今日はそんな彼女を懸命に介護する農家さん「Kご夫婦」のところへ行ってきた…

昨年、この農家さんのところへ、20代の若者たち25名ほどつれてお伺いした…。若者たちに農業を体験してもらう企画で、ボランティアで農業を体験させてくれるという話になったからだ…。(実際は膝と膝をつけて話し合った、これからの若者にきちんと農業から、人生を考えたり学んだりしていくヒントを得てもらい、日本の未来を日本の社会を、今よりももっと輝かせていってもらいたいという願いに賛同していただいたのだ)

当日、農家さんが丁寧に教えていても…若者たちの中には、自分で動かない子がいる(正確に言うと動けない)…中堅管理職の方はもうお分かりだと思うが、学校の先生ではなく、その子の親がその子を育てきれないで、何を大切にして生きていくのか!教えてもらえず、そのまま大人にされてしまった子供達なのだ…。

何を大切にして生きていくのか!携帯か?金か?有名企業への就職か?都会ですまし顔して生活することなのか?

いやいや現実はそんなものではなく…
人々の繋がり(つながり)であったり、未来への自分なりの哲学であったり、それをきちんと表現できる人に伝えられる言葉の使い方だったり…
そんなものを農村体験で気づいてもらい、若者たちの人生に役に立ててもらおうという企画だったのだが…
農家さんが一生懸命になればなるほど、数人の若者は、腰が重く…言われるまで何もしないでただボ~と眺めているだけで…(ボランティアでお願いした農家さんには本当に申し訳なかった…)

農業作業の体験後、その農家さんの家でこたつを囲みながらみんなで、「にんにくの芽と竹の子のまぜご飯」をいただいた…
その時も、農家さんの介護は休めない…こたつの脇にいるうまく歩けない彼女を介護しておトイレに行かせる。紙おむつは使わない…

若者たちみんなが、農家さんご夫婦の介護の様子をじっ~と見ながら、食事をした…。
そうしているうちに…だんだんと若者たちの目の色が変わってきたのだ…食事が終わるとみんなで茶碗をかたづけ、洗う…。
最後にそれぞれ体験発表、内容はともかく(笑)…農業体験の時とは打って変わって、人間の真剣さが伝わってきた…。

この時のように、若者たちに農業体験してもらえば何かつかんでくれる…という企画の意図に間違えこそなかった(と思いたい)が…やり方などに上から目線的な考えはなかったのか…大人が望む答えを出すように都合よく物事をならべてはいけないなぁ…更なる工夫をしていかなければならないと誓ったのを思い出す。

そしてこの企画でなによりも大切なものを、学ばせていただいた。

たとえ犬の命でも、たとえその犬がボロボロになっても、懸命にその命を大切にしているその人達の実際の姿をみることで、何を大切にして生きていくのか!のヒントが若者たちの心の中に、しっかりと落ちたのである…。そして謙虚に生きることの大切さ…。

人間でいえば約100歳(このワンちゃん今年で20歳。名前はピース。ピーちゃんと呼んでいる)

昨年は左に傾きながらも…かろうじて歩いていたが…

今はもう歩けない…
耳も聞こえない…
眼も見えない…
でも…心臓を動かして一生懸命に生きている…


農家さんが膝の上でスヤスヤ寝ているピーちゃんを…
何度も、何度も、ゆっくりと、なでながら

やさしくしゃべりかける…

「…おい!ピーちゃん…お前はこの年になるまで、りっぱに生きてきたんだもの~
…最後はちゃ~んと、おらたちが看取ってやるからなぁ~…なぁ、おい!」と…

涙涙涙…多くのことを…学ばせてくれる青木村!心から感謝です!

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